AIへの質問の作り方。答えを改善する5つの要素
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目的、背景、入力、出力形式、条件の5要素を使い、生成AIへ分かりやすく質問する方法を解説します。
AIに「分かりやすく説明して」と頼んだのに、知らない用語だらけの長文が返ってくる。もう少し違う説明が欲しいのに、どこを直してもらえばいいか分からない。そんな場面、困りますよね。
質問の作り方は、特別な呪文の暗記ではありません。何を知りたいか、どこまで分かっているか、どんな答えなら使えるかを整理する作業です。
ここでは「Pythonを教えて」という短いお願いを、段階的に直します。最後に、自分で質問を書き直す練習と模範解答も用意しました。
1. 答えを改善する5つの要素
AIへ渡す指示や入力をプロンプトと呼びます。質問がずれるときは、次の5項目で不足を探してみましょう。
| 要素 | 自分に聞くこと | Pythonを学ぶ例 |
|---|---|---|
| 目的 | 最後に何ができればいい? | 価格と個数から合計を計算したい |
| 背景 | 誰が、どこまで分かっている? | 初学者。print だけ知っている |
| 入力 | 判断や作業の材料は? | 自分で書いた短いコード |
| 出力形式 | どう並ぶと読みやすい? | 説明、コード、実行結果の順 |
| 条件 | 守ってほしいことは? | 外部ライブラリを使わない |
毎回5項目の見出しを書く必要はありません。「この用語は何?」という短い質問なら、用語と読者の知識だけで十分なこともあります。
目的、例、補足情報を明確にする考え方は、OpenAIのプロンプト設計ガイドでも説明されています。ただし、よい指示を書けば必ず正解になるわけではありません。答えの確認まで含めて一組です。
2. 「Pythonを教えて」を、3段階で具体化する
第1段階:範囲を一つにする
Pythonの変数について教えてください。
「Python全体」より、何を説明するかが絞られました。それでも、すでに他の言語を知っている人向けなのか、プログラミングそのものが初めてなのかで説明は変わります。
第2段階:今の理解を伝える
Pythonを学び始めた高校生です。
printで文字を表示することだけ知っています。
変数が何のためにあるのか、買い物の例で教えてください。
ここでは年齢そのものより、「print は分かる」という前提が役に立ちます。
「初心者向け」だけでは、初心者の範囲が広すぎることがあります。「変数という言葉も初めて」「if文までは分かる」のように、知っていることを一つ添えてみてください。
第3段階:読みたい順番と到達点を指定する
Pythonを学び始めた高校生です。printだけ知っています。
150円の商品を3個買ったときの合計を、自分で変更して計算できるようになりたいです。
次の順で説明してください。
1. 変数を使う理由
2. 5行以内のコード
3. コードを上から読んだ説明
4. 実行結果
5. 個数を変える練習と、模範解答・解説
知らない用語は出てきたところで説明してください。
外部ライブラリは使わないでください。
ライブラリは、ほかの人が用意した機能をまとめて使える道具です。今回は言語の基本に集中するため、追加の道具を使わない条件をつけています。
これなら、返ってきた答えを「コードがあるか」だけでなく、「3個を4個に自分で直せる説明になっているか」で評価できます。
3. 期待する答えを、一つ置いてみる
出力の例を渡すと、欲しい形式を伝えやすくなります。特に、分類やデータ整理では便利です。
次は、練習用の架空データを使ったお願いです。
学習メモを「用語:一言の説明」の形にそろえてください。
説明は、中学生にも分かる言葉にしてください。
形式の例:
変数:値に名前をつけて、あとから使いやすくする仕組み
整理したい用語:
関数、リスト、条件分岐
例を少数見せて回答の形式を伝える方法は、few-shot prompting(少数の例を使う指示)などと呼ばれます。まずは専門名より、「完成形の小さな見本を添える」と覚えれば大丈夫です。
例は、どの要素を合わせてほしいのか分かるものにします。「一言」と頼みながら見本が500文字だと、指示がぶつかってしまいます。
4. 指示と資料を分けて渡す
要約を頼むときは、「してほしい作業」と「作業の対象」を区切ります。
次の練習用のお知らせを、2つの箇条書きにしてください。
開催日時と申込期限は省略しないでください。
書かれていない情報は追加しないでください。
【ここから資料】
学習会は10月12日14時から16時まで、オンラインで開催します。
申込期限は10月5日です。参加費は無料です。
【ここまで資料】
この例の資料は、説明のために作った架空のお知らせです。実際のイベント情報ではありません。
期待する回答例
- 学習会は10月12日14〜16時、オンラインで開催。参加費は無料。
- 申込期限は10月5日。
見出しや区切り線で材料を分けると、「どこがお願いで、どこが元資料か」を整理できます。ただし、区切りを入れるだけで、資料に紛れた不正な指示を完全に防げるわけではありません。
知らないページや添付資料に「別の場所へ情報を送れ」などと書かれていても、それは自分が許可した操作ではありません。詳しくは生成AIを安全に使う基本で説明します。
5. 不満を「どの部分をどう変えるか」に直す
最初から完成した回答が出なくても、すぐに質問を丸ごと作り直す必要はありません。
もっと分かりやすくして。
より、次のように言えると修正対象がはっきりします。
「代入」の意味がまだ分かりません。
price = 150 の左側と右側が何を意味するかを分けて説明してください。
今のコードは変えず、説明だけ追加してください。
よいと思った部分も残すように伝えます。「コードは変えない」「例は買い物のまま」などです。毎回全部作り直されると、理解が追いつかなくてしんどいですよね。
追加のお願いが増えたら、一度条件を短くまとめ直しましょう。
現在の条件は、Python初学者向け・買い物の例・コード5行以内です。
「代入」と「文字列」には説明をつけてください。
この条件で、説明全体を並べ直してください。
会話の履歴をどの範囲まで参照できるかはサービスによって異なります。長い会話では、重要な条件の再提示が役立ちます。
6. 大きな依頼は、完成品ではなく作業で区切る
「アプリを全部作って」だけだと、何を確認すればよいか分かりにくくなります。学習なら、次のように止まりながら進める方法があります。
- 必要な機能を言葉で整理してもらう
- 一番小さい機能だけ作る
- 入力と出力を試す
- 自分で説明できたら、次の機能を追加する
質問例は、こうです。
点数の平均を出す小さなプログラムを作りたいです。
まず、必要な入力と出力だけ整理してください。
コードを書く前に、点数が0件のときの扱いも相談したいです。
ここでいう「段階的」は、AIの内部の思考をすべて見せてもらうことではありません。人が確認できる成果物や根拠を、小さく区切ることです。
プログラミングの依頼を分ける方法は、GitHub Copilotの公式ベストプラクティスでも案内されています。
7. 出典を頼んだら、自分でも開く
「公式資料を調べて」「出典をつけて」は大切な条件ですが、それだけで調査が完了したとは判断できません。
確認は、次の順に行います。
- 実在するか:リンクを開き、資料があるかを見る
- 内容が合うか:回答を裏付ける説明が本当にあるか読む
- 条件が合うか:対象地域、製品の版、料金プランなどを比べる
- 新しいか:変更されやすい情報は、適用日や現在の案内も確認する
検索できないAIには、指示を書くだけで最新情報を取得する力が追加されるわけではありません。必要なら自分で公式資料を用意し、読ませる範囲を指定しましょう。
コードでは、出典だけでなく実行結果も確認します。AIコードのチェックリストが使えます。
練習:「旅行を教えて」を直してみよう
次のあいまいな質問に、目的・背景・形式・条件を追加してください。
旅行について教えて。
練習の設定は「高校生3人」「京都の日帰り」「京都駅9時発、18時着」「歴史的な場所を2か所」です。ここでは実際の観光案ではなく、質問の作り方を練習します。
模範解答
高校生3人で京都を日帰り観光する計画を立てています。
京都駅を9時に出発し、18時までに戻る想定です。
歴史的な場所を2か所含め、移動と休憩の時間を入れてください。
候補を時間順の表にし、各行に場所・移動方法・所要時間を示してください。
予算と出発日はまだ決めていないので、計画に必要な確認事項を先に質問してください。
料金と営業時間を確かめる公式ページも示し、確認できない情報は未確認と書いてください。
解説
場所や人数だけでなく、「何がまだ決まっていないか」も伝えています。予算や日付をAIに勝手に補ってもらうより、先に確認した方が計画を使いやすくなります。
「公式ページを示す」は確認の入口です。実際に出かけるときは、施設や交通機関の公式情報で、営業日や運行を人が確認します。
もう一問:エラーの質問に何を足す?
Pythonが動かない。直して。
この依頼に、どんな情報を足せばよいでしょうか。
模範解答と解説
使っているPythonの版、実行したコード、実行方法、期待する結果、実際の結果、エラー全文を足します。ただし、氏名や秘密のキー、個人フォルダ名などは必要に応じて伏せます。
「動かない」だけでは、起動できないのか、計算結果が違うのか、入力待ちなのかが分かりません。起きたことを分けるほど、調べる場所も絞れます。
具体的な読み方はエラーメッセージの読み方へ。よい質問とは、長い質問ではなく、必要な手がかりがそろった質問です。
生成AIの使い方を講座で学びたい場合
まずは、この記事の練習を自分の質問で試してみてください。「質問は書けたけれど、次に何を学べばいいか迷う」というときは、講座を使う方法もあります。
DMM 生成AI CAMP 学び放題は、生成AIの活用を学ぶ月額制の有料サービスです。入会を検討するなら、学びたい内容がカリキュラムに含まれているか、月々の料金と学習時間が自分に合うかを確認しましょう。
ここでの紹介は受講レビューではありません。無料の記事や公式資料で学ぶ方法もあるので、すぐに契約する必要はありません。